※『リニア関連』のバックナンバーは以下
→10月16日「リニア対策PTが始動!!」
→11月1日「リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の行方は!?」
→1月21日「リニア問題の深掘りを進めています。」
→3月31日「全会一致。リニア問題に関する決議を可決!!」
→5月25日「リスクコミュニケーションなくしてリニア問題解決なし。」
タグ別アーカイブ: リスクコミュニケーション
リスクコミュニケーションなくしてリニア問題解決なし。
※『リニア関連』のバックナンバーは以下
→10月16日「リニア対策PTが始動!!」
→11月1日「リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の行方は!?」
→1月21日「リニア問題の深掘りを進めています。」
→3月31日「全会一致。リニア問題に関する決議を可決!!」
本日、会派内のリニア対策PTを開催し、この問題を担当する「くらし環境部」の職員と一緒に論点整理を進めました。
現在、科学的・技術的な問題については、国交相が設置した専門家会議で議論されているのですが、あまりスムースに進んでいるという印象はありません。
というのも、大批判を浴びたJR東海社長発言がいけません。
※「あまりに高い要求を課して、それが達成できなければ中央新幹線の着工も認められないというのは、法律の趣旨に反する扱いなのではないか。」などの発言
これは、4月27日に開かれた「第1回リニア中央新幹線静岡工区有識者会議」の冒頭にJR東海の金子社長から飛び出したものであり、県、10市町の首長、11の利水団体の代表者から、抗議文を送られるという結果になってしまいました。
その後、社長から手紙によって知事に謝罪をされたわけですが、そもそも、こうした発言が出てきてしまったこと、、、
ここに重要な課題が潜んでいるように思います。
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それは、
リスクコミュニケーション(科学的根拠に基づく対話)の不足です。
このトンネル工事はかつてない巨大プロジェクトですから、当然、環境への影響はただでは済みません。
しかし、そのリスクの受け止め方は、事業者側と住民側で大きな乖離があるのが通常です。だからこそ、この乖離を埋めて事業実施の合意を図るために、リスクコミュニケーションを粘り強く進めていかなければならないのです。
それを怠っていると・・・
住民は、事業者からの情報不足とその信頼がない場合、リスクを大きく見積もりやすくなってしまう。
また、事業者は、現場や地域の状況への認識不足等からリスクの見落としや過小評価が生じやすくなってしまう。
つまり、その差は一向に縮まらない。
という風に、良いことは何一つ無いんですね。
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翻って、このリニア問題の場合はどうかというと、静岡県側がリスクコミュニケーションを求めているのに対し、JR東海側が真摯に応じていない姿勢が見て取れます。
これは、私が静岡県民だから言うのではなく、先述の有識者会議でも多くの専門家から指摘されていることです。
JR東海の言動からは、
・十分な検討を行ってきている。
・これ以上、調査しても意味は無い。
・工事の認可は下りている。
といった思いが透けて見えてしまうのです。
そして、恐らくそうした空気が、あの社長発言に繋がってしまったのではないかと思われます。
リスクコミュニケーションなくして問題解決なし!
焦る気持ちはわかりますが、今のまま強引に工事を進めては、必ず後世に禍根を残すことになるでしょう。
そもそも、静岡工区だけではなく、他のエリアの工事進捗も順調では無いといった話も耳にします。
急がば回れ!
今後の議論が、科学的な対話に基づいてなされることを期待しています。
リニア問題の深掘りを進めています。
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→10月16日「リニア対策PTが始動!!」
→11月1日「リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の行方は!?」
過日お伝えしたように、我が会派では「リニア対策プロジェクトチーム」が結成されており、様々な角度から議論を続けています。
特に、外部の方からのご意見は大変参考になるものも多く、最近では・・・
・静岡大学学術院理学領域 森下祐一教授
・NEXCO中日本 名井所長
から、PTメンバーでヒアリングをさせて頂きました。
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それぞれのポイントを列記すると、
(森下教授)
◆山梨側でのボーリング調査はしているが、静岡側ではしないのが疑問。
◆南アルプスの地質について、調査できていない部分が多々ある。
◆JRによれば、大井川の水が毎秒2.03トン減るというが、この計算方法には不確実性があると認めた。
◆2018年10月にJR社長が「湧水の全量を大井川に戻す」と明言されたことにより、ようやく議論できる前提が整ったという段階。
◆ただ、どのようにして水を出さないのかといった工法・アイデアについては、示されていない。
◆地下水についての影響調査はできていないという印象。
◆工事の進捗と並行して、随時リスク管理を行い、報告する体制構築が大切である。
◆JRはリニア新幹線の研究は進めてきたが、トンネル掘削の研究は怠ってきた。
◆南アルプストンネル工事は、青函トンネル以上の難工事で、世界でもこれだけのレベルの工事はない。
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(名井所長)
◆ボーリング調査は、あまりにも深いところではできないのでは。現実的には数10メートルくらいまで。(南アルプス工事では深さ1000メートル以上・・・)
◆普通、トンネル工事をする場合には、事前に井戸や沢の水位・状況をモニタリングして、リスクに備える。
◆事前協議の段階では、何年もかけて地元の心配事に応じて調査も行う。
◆補償は最大で30年。(恒久対応というが、それは30年が常識)
◆リニアの工事は、相当難しいと思う。深くなると土の圧力が高まり、トンネル自体が変形する可能性もある。
◆トンネルの地質が一番影響する。柔らかい砂地は難しい。岩であればやり易い。
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現在、静岡県からは「引き続き対話を要する47項目」について、JR側の見解を求め、その正式な回答を待っている段階です。
しかし、上記のようなヒアリングで得た内容と重ねれば、まだまだ満足のいく調査が行われていないのではと、私たちは判断します。
正直、専門的な話は分かりません。
でも、工事を進めたいJR側と、工事の影響が心配な大井川流域住民側とのリスクコミュニケーションを進めることが必要だということくらい分かります。
急がば回れ!!
全ての当事者が、一つ一つの問題に真摯に向き合えるよう、私たちも側面から支援していきたいと思います。